[書評]「星書」シリーズ(荻野目悠樹)

少々古い話になりますが、7月に荻野目悠樹さん「デス・タイガー・ライジング」(全四巻)が完結しました。
この作品は「星書」シリーズと名付けられている作品群の一つで、「デス・タイガー・ライジング」以外に「双星記」(全五巻)、「ダイアナ記 戦士の還るところ」が同じシリーズを構成しています。
私が読んでいたのは「デス・タイガー・ライジング」だけで、他のものは読んでいなませんでした。というのも、「星書」シリーズ本編と言うべき「双星記」が打ち切りにあったと聞いていたので、手を出しづらかったということもあります。ですが、「デス・タイガー・ライジング」だけでは、世界全体の動きが分かりにくい所があったため、結局「双星記」と「ダイアナ記」を読んでみました。

打ち切りにあったということもあり、元々、さほどは期待していませんでしたが、実のところ、「双星記」はなかなか面白かったと思います。
設定上、いくつか無理な点はありましたし、展開がややご都合主義的にすぎるきらいがありましたが、純粋に娯楽小説として楽しむことができました。
残念なのは、やはり五巻で打ち切りにあったせいで、明らかに中途半端なところで終わっている点でしょうか。

続いて、「ダイアナ記」ですが、これは単発小説として読むべきものではなく、明らかに「双星記」の外伝として読むべきものだと感じました。単発小説として読むと、物足りない上に説明不足であることを感じると思います。
ストーリー展開についても、粗筋にまとめると、いくらでも転がっていそうな小説だと思います。
とはいえ、外伝として読んだ時には、これはこれでありかと。
少なくても主人公ダイアナ・フーバー提督に萌えましたし(笑

最後に、最新作の「デス・タイガー・ライジング」ですが、これもストーリーは多分にオーソドックスな所がありましたし、背景世界全体の動きが分かりにくい所がありますが、飽きずに最後まで読ませられました。
「星書」シリーズ中の一作であり、シリーズの背景となっている<夏>(接近期)と戦争の展開はまだまだこれからですが、「双星記」と異なり、「デス・タイガー・ライジング」は小説としてちゃんと完結しているので、物足りない感じは受けません。その点を除いても、完成度は「双星記」より上かなと感じました。
とはいえ、やはり、単体では背景世界全体の動きは分かりにくい点は減点対象です。
荻野目悠樹さんは、「各作品は独立して楽しめるように書かれています」と書いていますが、これから読む方は、「双星記」を読んでからにした方が良いですね。
「双星記」の続きではなく、時間経過がほぼ重なっているので、続編を期待すると期待はずれになるかもしれませんが……

まとめとして、シリーズ全体の感想ですが、ストーリー自体はオーソドックスですし、SFとして見るべきところもほとんどありませんが、それはそれとして、お約束をお約束として小説を楽しむことができる方にはお勧めだと思います。
「双星記」の続編を期待しています。

<補遺>
実は、「双星記」「ダイアナ記」には惑星ベイゼリオンに関する設定ミスがあります。
ベイゼリオンの自転軸が90度傾いているので常に一方の半球が太陽を向いているという設定になっています。しかし、双星記の描写と整合させるためには、自転軸の傾きは0度で自転周期と公転周期が一致している必要があります。
さすがに、「デス・タイガー・ライジング」では気付いたのか、90度傾いているという記述は無くなっていますが、それでもまだおかしい記述が残っていたり。

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